みなさんこんにちは。
しばらく更新をサボっていた茨城のカメラマン仲居です。
今回は一眼レフカメラを始めたばかりの人が挑戦したくなる「背景のボケ」と、なぜかカメラマンが好んで使う大きな「望遠レンズ」の魅力と仕組みをご紹介しますね。
望遠レンズには特殊な圧縮効果がある。
アイドルやグラビア、そしてプロフィールなどの写真を見ると、背景がボケて被写体が浮き上がって見える写真を見たことがありませんか?
それらの写真は、この世界にその人だけしか存在しないような、被写体が「主役」の素敵な写真に見えると思います。
以前ご紹介した、F値の明るい(F1.8などF値が低い)レンズでも同じような表現ができますが、望遠レンズには「圧縮効果(引き寄せ効果とも)」と呼ばれる背景が近くに感じるような効果があります。
これは広角・標準レンズでは見られない望遠レンズだけの特別な効果で、ポートレートやグラビアで背景を整理する=主役を引き立てるために望遠レンズが好んで利用されます。
レンズによる背景の見え方の違い
では、レンズによって背景がどう変わっていくか(ボケていくか)を広角・標準・望遠レンズ毎にモデルさんと背景の違いを見比べてみましょう。
※モデルさんの位置は固定で、カメラが移動しています。
※カメラの設定は絞りオートの「F8固定」
※APS-Cの表記は1.5倍で換算してます。
※今回注視すべきは「背景」「被写体の大きさ」
※モデル白雪美憂さん(Twitter @ShirayukiMiyu)←明るくて話しやすい素敵なモデルさん!超美肌なので、撮って出し派の方にお勧めです!
広角レンズ(17mm~24mm)
まずは超広角と呼ばれる17mm(APS-Cのカメラでは11mm前後のレンズ)の写真です。
モデルさんとは30センチくらいの超近距離です。背景はどちらかと言うとハッキリ写っていますね。
また広角特有のパース感が強く出ているため、手に持っているボードも広がって見えます。
広角24mm (APS-Cのカメラでは16mm前後のレンズ)この時点で、モデルさんの大きさはほぼ同じでも背景が変化してビルが近づいているように感じます。
広角レンズは「広く写す」特性から、強烈なパース(遠近感)がかかり望遠レンズとは真逆の「近くの物は広く、遠くの物は小さく」写るのが特徴。
また、非常に近くまで寄っても撮影できるため、風景だけでなく犬や猫など小動物を接写しても面白い写真が撮れます。
↑広角レンズは非常に面白い写りが楽しめます。狭い室内でも活躍するため1本は持っておきたいですね。
標準レンズ(35mm~50mm)
やや広角よりの35mm(APS-Cのカメラでは23mm前後のレンズ)です。
モデルさんとの距離は約50㎝程度で、モデルさんのフレーム内の大きさは同じになるよう撮影していますが、背景は広角と比べて緑が多く見えるようになっていますね。
人間の目に近いと言われる50mm(APS-Cのカメラでは33mm前後のレンズ)は各メーカーから非常に安価で明るい単焦点レンズが販売されているため、単焦点の入門レンズとも言われています。
最も使いやすい画角の標準レンズであり、背景はの変化は赤いビルが広角レンズと比べて迫って来ているように見えますね。
中望遠~望遠(85mm~120mm)
所謂ポートレートレンズと呼ばれる85mm(APS-Cのカメラでは57mm前後のレンズ)で85mmは「中望遠」、ここから先のレンズは「望遠域」レンズとなります。
背景に注目してみると、F8と絞っているにも関わらず背景は適度なボケとなっていますね。また、右側の看板がいつの間にかこんなに近くに!
ポートレートレンズと呼ばれるだけあって、この時点で被写体が立体的に見えるのが特徴。
最初からカメラについているズームキットレンズの望遠側に近い120mm(APS-Cのカメラでは80mm前後のレンズ)です。
ここからは完全に望遠域になるため、F8でも背景が非常にボケています。
そして注目は右側の看板…!被写体の大きさは同じなのに、いつの間にかフレームアウトしそうなほど近くに!広角レンズと比較すると背景が近づいているように感じますね!
ここからは先に紹介した「圧縮効果」で背景の変化とボケ感が目に見えて大きくなってきます。
↑ポートレートレンズの代表と言えば85mmの単焦点レンズ。6~8万円と多少値段は張りますが、是非とも使いたい1本。
ちなみに私はポートレートをほとんどこのレンズだけで撮影しています。
望遠レンズ(200mm~300mm)
完全な望遠域である200mm(APS-Cのカメラでは133mm前後のレンズ)です。
モデルさんとの距離は7~8m程度ありますが、近くにいるように感じますね。
そして背景に注目!F8なのにボケボケです!! すごい!!
これだけ背景がボケていると、何となく撮影しただけでも「え?俺って写真上手いかも?」と錯覚してしまうほど被写体が立体的に見えます。
こちらもポートレートの王道300mm(APS-Cのカメラで200mm前後のレンズ) で300mm/F2.8のレンズを「サンニッパ」と呼ぶほど人気。
モデルさんの大きさはほぼ一定になるよう私が移動しつつ撮影しているため、その距離はなんと10m以上も離れてしまいました笑
背景はもはや別世界で、F8でも完全にボケているのが魅力!カメラマンが大きな望遠レンズで遠くから撮影したくなる気持ちが分かりますね。
そしてもう一つ!背景がボケているだけなく、広角レンズと比べて「だるまさんがころんだ」のように迫って来ていますね。
これが望遠レンズの「圧縮効果(引き寄せ効果)」による写りで、明るいだけの標準単焦点レンズでは表現できない写真を撮る事が出来ます。
↑望遠レンズの単焦点は目玉が飛び出るほど高価ですが、望遠ズームレンズなら比較的安く買う事が出来ます。何かと便利なので、望遠も持っておきたいですね。
いかがでしょうか?望遠になればなるほど、どんどん背景が迫って来ていますね。
この効果を上手く利用することで、背景を整理するだけでなく、写真の密度を高めるなど色んな表現ができるようになります。
↑300mmの望遠レンズによる圧縮効果で桜の木の間隔が(密度)が詰まって見えますね!
このように「遠くの物を大きく写す」だけじゃないのが望遠レンズの魅力になります。
↑もし今持っているレンズの焦点距離(mm数、画角)が分からない場合はコチラの記事に調べ方をまとめたので、覚えておくとお店に行った時にパッと分かるのでおすすめです。
望遠レンズのデメリット
非常に良い写りが期待できる望遠レンズですが、それなりにデメリットがあるので注意しなければいけません。
デメリット①:望遠レンズは暗い
高級レンズを除き、ほとんどの望遠レンズのF値がF5.6~6.5程度と暗い。
曇天や屋内などではシャッター速度が稼げずISO感度を上げるなどの対応や、高感度に強い高級なカメラ本体が必要になる場合があります。
デメリット②:明るい望遠レンズは高い
いやいや、明るいレンズはみんな高いっしょ(笑)
普通の単焦点レンズと比べてはいけません。物によりますが、最低15~100万円以上とガチで保険かけるレベルの高級品になります。
一眼レフ初心者が簡単に手を出せる金額ではないため、購入には奥さんの許可や勇気が必要。
デメリット③:重い・デカい
最低ランクの望遠レンズ以外は、明るさや最大距離に比例して重く・大きくなっていきます。超望遠とかレンズだけで15㎏&本体が小さなトランクサイズになります。
大きく重くなると撮影のテンポは必然的に悪くなりますし、レンズとカメラを支えるために高級な三脚が必要になるなど考え無しに購入することはNG。
デメリット④撮影スペースが必要(超重要)
これが一番重要です。望遠レンズは「遠くの物を大きく写す」その特性から、被写体との距離が近いとピントが合わず撮影することができません。
ほとんどの望遠レンズは最低でも1.5m以上ないと撮影できないので、屋内や撮影するロケーションによっては「顔のアップしか撮れない」なんて事が普通にあります。
望遠レンズは素晴らしいレンズですが、デメリット(特性)部分を理解していないと「買ったはいいが使えない」となり、手放してしまう事も珍しくありません。
もしレンズ選びで迷ったら、高倍率ズームなども視野に入れて自分の撮りたい写真や、使う頻度なども考慮すると良いかもしれません。
それほどカメラマンを悩ませる望遠レンズの魅力はお分かりいただけたでしょうか?
興味はあるけど使ってみてからじゃないと買えない!って方は思い切ってレンズをレンタルしてみるのもおすすめです。↓↓
レンタルなら数十万円する望遠レンズも、1泊2日のレンタルが1万円程度で可能です。
大切な人のポートレート撮影や、スポーツ撮影等でレンタルして思いっきり使ってみてはいかがでしょうか?
次回もよろしくお願いします!
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