みなさんこんにちは
今回はInstagramやTwitterで良く質問を受けていた「宙玉レンズ」の使い方やセッティング方法などをご紹介しますね!
※宙玉(そらたま)と読みます。正確には「そらたまフィルター」ですが空玉とか「レンズそのもの」とよく間違える方が多いのでご注意ください。
この宙玉レンズは設定方法がやや複雑で、うっかり手を出しだけど上手く使えず途方に暮れてしまった方にも参考になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!
宙玉(そらたま)とは?
↑まずは「宙玉」の説明ですが写真を見てもらった方が早いですね。
どうですか?まるで魔法や合成したような不思議な写りです!信じられないかも知れませんが、この写真が宙玉にしかできない合成無しの「1発撮り」なんですよ!
SNSではガラスボールを使って風景を撮る写真が人気ですが、そういった写真とは全く違う表現で「ガラス玉に世界を閉じ込める」事が出来るのが宙玉レンズの魅力です。
宙玉…このような写真を撮ってみたいと思いませんか?
それでは早速「宙玉レンズ」の仕組みを見ていきましょう!
宙玉はレンズじゃなくて「フィルター」だった
↑さっそく種明かしと行きましょう!これが「宙玉」です。
左側が本体で、フィルターに直接ガラス玉が装着されているんですね!
しかしこれをレンズに付けるとガラス玉がレンズにぶつかって装着できません。
↑そのため、右側の延長リングをこのようにセットにしてレンズに装着します。
宙玉をセッティングしてみよう!
それでは実際に宙玉をカメラへセットしてみましょう!
↑の写真が実際に宙玉レンズとして撮影可能なセッティングになります。(D750+24‐120mmの場合)
なんだかヘンテコな見た目をしていますね笑
宙玉レンズで実際に撮影するには少し工夫が必要になるうえに、カメラや使用レンズ毎にその設定が大きく変化します。
宙玉のセッティングは機材によってバラバラ…!
この設定が「宙玉」のハードルの高さであり、その写真が滅多に出回らない理由でもあります。
なぜレンズやカメラ毎にセッティングが変わるのか?その理由は以下の通り
- レンズの最短撮影距離が短い必要がある
- ガラス玉が近過ぎるとケラレが発生する(トリミングすればOK)
- フィルター径を宙玉に合わせる必要がある
主にこのような理由がありますが、特に難しいのは宙玉にフィルター径を合わせる事で、大口径のレンズではステップダウンリング。小口径のレンズはステップアップリングで調整する必要があります。
※ステップアップ(ダウン)リングはフィルター径を大小させるリングです。高価なNDフィルターを複数のレンズで使いまわす時に便利。
さらに、最短撮影距離はマクロレンズでも厳しい事が多いので、以前こちらの記事で紹介した「接写リング」がほとんどの場合必要になる事です。
おすすめは標準ズームレンズ
色々なレンズで宙玉を試してきましたが、一番セッティングが簡単なのはカメラを買った時に付いている「標準ズームレンズ」がおすすめです。
理由として、広角側の最短撮影距離が近い場合が多く、ズームを使って宙玉が撮影可能な距離を探る事が出来るため。
画質を追求するならば単焦点やマクロレンズにしたい所ですが、宙玉の仕組みになれるまでかなりセッティングのハードルが高いため「標準ズームレンズ」が宙玉入門には最適です。
では実際にセッティングを分かりやすく分解してみます。
宙玉の仕組みをバラバラにして確認!
↑メーカーや機種によりますが、難しい宙玉のセッティングの中では再現性が高いと思います。左側から説明すると…
- 宙玉(soratama 72)
- ステップダウンリング(77mm→72mm)
- NIKKOR 24-120mm
- 接写リング(36mm)
つまり、接写リングで最短撮影距離を極端に短くして、レンズの先に付けた宙玉(ガラス玉)にピントを合わせる形です。
この状態でズーム機能を使って広角~望遠側までズームさせるとレンズ全面の宙玉にピントを合わせる事ができるようになります。
↑ちなみに24mm(広角側)で撮影するとこんな感じのボケボケと四隅のケラレに…!
上手い具合にピントがあう所までズームしましょう!
このセッティングの場合は大体75mm前後で以下のような写真を撮る事が出来るようになりました。
↑しっかりとガラス玉の撮影が出来ていますね!
もし過去に宙玉にチャレンジしても上手く撮影できなかった方は
①接写リングを長めに変更。12mm→36mmなど。
②エクステンションチューブ(宙玉専用。宙玉側に装着する)を使って宙玉とレンズの距離を延長させる。
③最短撮影距離が短いレンズに変更する。
この3つを頭に入れておけば宙玉が撮影できる組み合わせが必ず見つかるハズなので、諦めずにチャレンジしてください!
宙玉(そらたま)レンズの注意事項
↑なかなかピーキーな仕様の宙玉ですが、更にいくつかの注意点があります。まずはこの写真を見て下さい…!
そうです!逆さま!当然といえば当然ですが、ガラス玉に映った世界は逆さまに写るのでちょっと面倒ですが現像時に上下左右を反転する必要があります。
ガラス玉の輪郭をハッキリ写すには
↑F4で撮影した宙玉写真。宙玉はガラス玉の前面~写真奥まで深い被写界深度が必要になります。
そのため浅いF値では上の写真のように「ボヤっと」した写真になってしまうため、好みはありますが比較的F値を絞った方が良いと思います。
↑上からF8,F11,F16とF値を絞って撮影してみました。
F11あたりからガラス玉の輪郭がハッキリ写りはじめ、F16以上で輪郭も玉の内部もクッキリ写ると言った感じでしょうか?
個人的にはF11付近が背景とのバランスが良く見えますが、いずれにしてもF値を絞る=シャッター速度が遅くなるため三脚などが必要になる点は注意が必要です。
↑あえてF1.8(マイクロフォーサーズ機)でイルミネーションを撮影してみました。
好みの問題ですが、これはこれでアリな表現だと思います。
一度は試して欲しい!魅惑の「宙玉レンズ」作例
普通のレンズでは絶対に表現できない写真が撮れるのが「宙玉」の魅力です。
↑この写真のように花の群生に寄って撮れば、背景までカラフルな世界が広がったり
↑イルミネーションを撮ればキラキラのボケを閉じ込めたり
↑洗濯槽だって宙玉にかかれば3Dアート作品のような写り!
↑浅めのF値でクラゲを撮ればまるで水中にいるみたいな気分になったり
↑空を見上げるように花を撮れば「どうやって撮影したの?」と驚くような写真が合成無しの1発撮りで撮影できるのが「宙玉」の楽しさです。
いかがでしたでしょうか?
宙玉は機材を揃えて、実際に撮影できるまでハードルは高めですが、上手く撮影出来た時の写真は他のレンズやフィルターでは絶対に真似できません。
人とは違った写真が撮りたい!変わった写真にチャレンジしたい!そんな方は「宙玉」フィルターをぜひ試してみて下さいね!
また、宙玉発案者の「上原ゼンジ」さんのHPでは宙玉の自作方法なども掲載されていますので、気になった方はチャレンジしてみてください!
次回もよろしくお願いします!
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